2013年04月06日

ファッショ的なデザインとは?―『夢と魅惑の全体主義』(井上章一 文芸春秋 2006年)を再読する

20世紀の世界史のなかで1930年代をファッシズムがおおきな役割を占める年代だと考えるのに異論はないだろう。イタリア、スペイン、ドイツそして、アジアでも日本が世界への膨張・派遣をはじめたときである。げんみつにいえば「ファシズム」といっても内実に違いがあるのだが、なぜ同時代的な潮流になったのか、については解明されてはいない。

建築でも同様なことがあるのでは、と井上章一が考察したのがこの本である。

『夢と魅惑の全体主義』(井上章一 文芸春秋 2006年)というタイトルが示すとおり、ここで扱われているのは、スターリンゴシックのソ連だったり、中華人民共和国の建築だったり、ファッシズムという枠を超えて「全体主義」という概念である。それは著者もためらいがあるようだが、それでも共通する何かがある、ということであえてこの言葉を使っているようだ。

この本が出版されて、直ぐに読んだが、たまたま古書店で発見して再読してみた。個別のエピソードなど面白いところは多々あるのだが、どうやら建築や都市計画というのは権力が集中して、強権的にならないと実行・実現できない、というしごく当たり前の結論になってしまう。

そして建築や都市計画というものは、時に暴力的にならざるをえない、ということをあらためて認識した。



ファッショの建築として有名な
カサ・デル・ファッショ Casa del Fascio
http://www.archi-map.jp/taniyan/foreign/italy/casa_del_fascio.html

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2007年05月23日

帝冠様式と軍事体制

グループ演劇工房が満州国の都市計画にかかわった実際の建築家をモデルに芝居をやるという。それについては鑑賞してから報告したいが、建築家が作風を変えたりすることについて、指摘しているらしい。

 かつて帝冠様式(九段会館など洋風のビルに和風の瓦屋根などを乗せた、折衷的なスタイルで俗流化として評価はよろしくない)という建築デザインスタイルがあり、それについては日本が軍事大国化、帝国主義化してアジアへ侵略していく過程と帝観様式の浸透が符合しているという。

 評論家の井上章一は建築家自身が迎合したもので、軍部や政府がこのスタイルを推し進めたことはない、としている。そこから建築家の社会的責任についてはどうなるのかなと思ったりする。

 というのも建築家が権力者やお金もちにとりいって、おおきな建物設計や計画をまかせてもらったりするが、それにより自身の意思も通す場合もあれば、施工主の注文により意のままにやる場合もあるだろう。まったく意のままにやるにせよ、それをやらない選択もあるわけで責任は生じるのではないのか。

帝冠様式
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2006年05月28日

文京区の旧東方文化学院

 旧東方文化学院と帝冠様式

 昨年のことだが拓殖大学の公開講座で近代建築の催しがあった。

 昔はこの建物そばの学校に通っていたことがあるので、東洋風のへんな建物のことは気になっていた。外務省の研修所で使用されていたが、怪しげなことをやっているのではないかと思ったものだ。

 なんでも、この建物は保存問題が持ち上がっていたそうで、それを拓殖大学が買い上げたらしい。保存については大変けっこうなのだが、それと美的価値は別なのではないだろうか。歴史的価値があるから残そうとするわけで、わけて考えるべきだろう。


  市民と共に保存活動

 シンポジウムでは井尻千男が、最近の無風味なインターナショナルスタイルの建築物を嘆き、和風の屋根を持つ建物など―帝冠様式を擁護したように聞こえた。この建物については門構えが立派なのはいいのだが、本体は屋根が大きすぎてバランスがイマイチかな、奥行きや敷地などが狭く、窮屈な印象がある。

 インターナショナルな近代建築も味があるものがあるのにな、と思い聞いていた。

 ちなみに帝冠様式とは洋風建築に和風のテイストを折衷したもので、おもに屋根に東アジア風の瓦屋根を乗せたものを指すようである。九段会館や東京国立博物館、歌舞伎座などが代表的建築物とされている。
 
 帝冠様式ネットワーク
 
 上記には残念ながら旧東方文化学院は掲載されていない。
 
 
旧東方文化学院の見学会とシンポジウム11/26(土)

◎拓殖大学公開講座
  国際教育会館(旧東方文化学院) 建築見学会とシンポジウム
  「国際教育会館と本館の歴史と文化的価値を探る」
    【時間】14:00-17:00
    【場所】拓殖大学国際教育会館 3階F301教室
        (東京メトロ・丸の内線茗荷谷駅下車5分)
    【費用】無料
    【主催】拓殖大学 日本文化研究所

    【内容】−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    拓殖大学の国際教育会館は、中国問題を研究する東方文化学院として
    内田祥三氏の設計により1933年に建設され、後に外務省研修所として
    も使われました。奈良の唐招提寺を模したといわれる重厚な建築は、
    日本建築学会の総覧にも選ばれた文化的価値の高い建築です。また同
    時期に建てられた加護谷祐太郎氏の設計による拓殖大学本館(A館)
    も歴史的価値の高い教育施設です。この2つの建築の魅力を多くの
    方々に知っていただきたく見学会とシンポジウムを開催いたします。
    ぜひご参加ください。
    ★プログラム
    受付 1:30
    開演 2:00
    2:00〜2:50 国際教育会館(旧東方文化学院)と本館の歴史と建築特徴
    の紹介
    3:00〜4:00 国際教育会館と本館の見学
    4:00〜5:00 シンポジウム「国際教育会館と本館の歴史と文化的価値
    を探る」
    ・パネリスト:井尻千男(拓殖大学教授)、梅宮弘光(神戸大学発達
    科学部助教授)、徳永達己(日本技術開発(株))、桐原武志(JI
    A)
    終了 5:00   
posted by mado at 20:21| Comment(0) | 帝冠様式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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